2.失敗学の導入と実践
1)どうして失敗が発生するのか
印刷物の制作は、同じ作業を繰り返す単調な仕事のように見えますが、実は一品ごとに仕様が異なるオーダーメイド製品を作る工芸的要素の強い仕事です。
そしてDTP組版は、文字組版・版下作成・写真製版という一昔前まで三人の職人の仕事をテクノロジーの進化により一元化した作業です。
ということは、オペレータは単なるパソコンの操作だけでなく、三人の印刷職人のノウハウをパソコンを通してまとめていることになります。つまり深い印刷(プリプレス)知識と経験が問われるのです。
さらに印刷業界は受注産業ですから、時間の制約の中で、複雑なデザイン・レイアウト、仕様を作りこみますので、小さなミスを起こしやすいのです。
2)では失敗をどう防ぐか?
では、このような環境の中、どうすれば失敗が減らせるのでしょう?
それは、失敗を防ぐ仕組み作りを考えることから始まりました。
2002年、当社では畑村失敗学を本から学び、実証してみました。まず、過去の失敗や事故を洗い出して整理・分類。同時に失敗や事故による損失金額を洗い出し、期間毎の損失額対売上額比を算出。これを『失敗損失率』と名付けました。
これ以降の社内会議、事故防止講習会、スキルアップセミナーなど様々な失敗防止活動により、3年後の2006年には失敗損失率を 1/100 以下に減少させることに成功したのです。