既存の印刷物を元に電子書籍を作る場合
既存の印刷本を電子化する場合、まず印刷で使ったデータがあるかどうか、そしてそれが使えるのかどうかが重要な点です。
データがない場合は、テキストの入力から始めることになり、かなりの手間とコストが必要になります。なお、印刷用DTPデータはないが製版フィルムが残っているといった場合もあるかもしれませんが、デジタルデータでない以上、ないのと同じです。もちろん、印刷物があればスキャナで読み取ってOCR処理することでデジタル化も可能ですが、精度やレイアウトの再現性などで課題があり、校正・修正で多大な労力を費やすことにもなりかねません。
また、データがあっても、それを電子書籍データに簡単に変換できるかどうかということは別問題です。印刷用データは、InDesignなど専用のDTPソフトを使って作られます。DTPソフトは、どんな複雑なレイアウトでも思い通りに作ることができる豊富な機能と高い信頼性を備えていますが、レイアウトが複雑になればなるほど電子書籍で再現することは難しくなります。PDFに書き出せば印刷物と同じレイアウトになりますが、印刷本とサイズの違うデバイス(たいていの場合は印刷よりもかなり小さい)を使う電子書籍としてみるとPDFはそれほど人気がありません。
印刷本を電子書籍にする場合は、印刷本をどこまで再現するのか、あるいはしないのかということが重要になります。印刷本には印刷本に適した見せ方があり、電子書籍には電子書籍に適した見せ方があります。「印刷でこうだから電子書籍でも同じように」というのは多くの場合うまくいきません。
また、印刷本でできないことを実現するというのも方向性としてはあるでしょう。たとえばリンク機能だけでも電子書籍ならではの工夫を凝らすことができるわけです。
印刷本を電子化する場合でも、そのまま再現するより新しい別の本として企画を考えるほうがよりよいものができるのではないでしょうか。インフォルムは印刷・電子書籍それぞれの豊富な知識、経験があり、ご要望によって企画段階からサポートいたします。