索引作成ワークフローを考える
InDesignの索引機能
索引の作成は印刷物を作る工程全体の中でも面倒なもののひとつです。テキストから索引で使いたい項目をノンブルとともに抜き出し、特定の並び順に並べ替えたものをページに割り付けていくわけですが、項目を正確なノンブルごと抜き出すのと、それをチェックするというのが大変面倒なのです。
索引のそもそもの目的が、その内容が書かれているページを探すことである以上、ノンブルが間違っていては意味がありません。そのため、ページが変わってしまうリスクが消えた段階、つまり完全に校了した後に作り始めるというのが索引作成における鉄則です。
ただし、現実には、校了後に作るのは時間的に厳しいという場合もあるでしょうし、クライアントの要望や作業の都合などによって、途中段階で索引を作らなければならないケースもないわけではありません。
索引の作成作業は、DTPでももっとも効率化と正確さが求められる工程であり、だからこそその作業方法は十分検証され、よりよい方法を選択する必要があるのです。
以前にもInDesignの索引機能を中心に基本的な索引の作り方について解説しましたが、今回は、InDesignの索引機能を使った具体的な処理のワークフローに焦点をあてて考えてみましょう。
ノンブルと読み
InDesignの索引機能は、ドキュメント中のテキストから選択した語句を「読み」とともに登録しておき、それを索引としてデータを生成、ドキュメントに流し込むというものです。
ノンブルは索引を参照登録するとそのテキストにマーカーが付加され、ページ情報が把握されるため、生成する際に自動的に付け加えられます。これがこの機能のポイントのひとつと言えるでしょう。この機能を使って索引の語句を登録しておけば、仮にその後でページが変動しても、生成する際には常に最新のノンブルを正確に書き出すことができます。
そしてもうひとつのポイントが読みとソートの機能です。InDesignの索引機能では、漢字の語句を登録する際には必ず「読み」を一緒に登録しなければなりません。この読みによって、索引機能は語句をソートし、適切な順番通りに流し込むわけです。
読みとソートは単純ながら便利な機能ですが問題もあります。語句を登録する際、ドキュメント上でテキストを選択して登録画面を出せば自動的に語句は入力されますが、読みはあらためて入力しなければなりません。難読文字に手間取ったり入力ミスしてしまう可能性があるうえ、作業効率という面でも問題でしょう。
また、ソートの方法も限定されているため、他のソート方法、たとえば「いろは順」とか、読みの五十音順に先頭文字のまとめ順を組み合わせたいわゆる“電話帳式”などで並べ替えたくてもInDesign上ではソートできません。
さらに索引作成では、著者や編集者が索引の語句を読みとともにExcelなどに入力して原稿が作られることも多く、そういった場合はせっかくのデータが無駄になるわけです。
処理方法の組み合わせ
こういった問題を解決するには、InDesignだけで作業しようとせず、他のやり方を組み合わせることが必要になってきます。
たとえば、ソート方法はExcelなどで行ったほうが自由度が高いですし、読みのテキストデータがあればそれも活用できます。さらに作業の処理を分散させることで、オペレーターに負担が集中しやすい作業の効率化を図ることができます。
具体的な方法としては、InDesignで索引項目を登録し、索引作成を実行して、そのテキストをExcelなどにもっていき、ソートしてからあらためてInDesignの索引ページに流し込むというのが一般的でしょう。索引項目を登録する場合、事前に文字スタイルなどで候補の語句を指定しておき、それをもとに一気に登録するスクリプトやプラグインも利用されているようです。
日本語の項目を登録していく際に読みが必須となりますが、ソートをExcelで行うのであれば、登録時は適当に入力し、Excelであらためて正確な読みを付加したりしてソートするということで問題ないでしょう。
項目を登録する際、語句のある場所をきちんと把握できていれば問題ありませんが、項目のリストだけがあり、それをInDesign上で探しながら登録するというケースもあり得ます。InDesignの索引機能には検索する機能も用意されており、やり方次第では人の目で探さなくても作業できます。
InDesignのドキュメント上で語句を選択し、新規ページ参照を実行すると、登録画面で「OK」「キャンセル」「追加」のほかに「すべて追加」というボタンが表示されます。このボタンを使うと、ドキュメントから項目が自動的に検索されヒットしたすべての文字列が登録されるわけです。
登録したい語句をドキュメントでまず選択する必要があるため、通常は語句を探す手間がやはりかかりますが、たとえば項目のリストを空きスペースに読み込み、そこから1つずつ選択・登録していくといった方法をとれば効率的に登録することができます(登録した後で流し込んだリストを削除すれば、必要な情報だけが残る)。
なお、「すべて追加」した場合、初出ページだけ索引に掲載するには不要なノンブルを削除する必要があります。また、検索した文字列が機械的にヒットすることから、複合語の一部が登録されてしまうこともあるため注意が必要です。
ちなみに、InDesign上でソートまでしたい場合、ソート済みの読みを事前に登録するという方法もあります。InDesignタグで索引語句とソートに配慮した読み(ソート順の通し番号を頭に付加するなど)を記述してInDesignに流し込むことで、項目(見出し)と読みが自動的に取り込まれます。次に新規ページ参照を実行し、登録画面で検索欄から項目をダブルクリックすると、読みを取り込むことができます。
いずれにしても、索引の作成ではオペレーターの手作業による処理や目視による確認はできるだけ避け、状況に応じて臨機応変に対応するというのが、正確で効率の良い作業を行ううえで重要になってきます。
(田村 2010.2.22初出)
(田村 2025.7.7更新)