縦組みの中黒「・」の怪
写植に半角約物の体裁制御というのがあります。括弧類が行頭・行中・行末にきた場合のアキ量の設定ができますが、カギ括弧と丸括弧を別々に設定することはできません。
これがInDesignになると、[文字組みアキ量設定]で異なるアキ量にするなど、実に詳細な設定ができます。
どんな設定の仕方か簡単に説明しましょう。まず、基本設定と詳細設定があり、基本設定では、
(1)起こし・受け・中付きの約物の行中・行頭・行末のアキ量
(2)連続する約物のアキ量
(3)和欧間のアキ量
を設定します。また、詳細設定では、前の文字クラス・後の文字クラスとの組合せで、最小・最適・最大のアキ量を設定します。
括弧類の場合のアキ量は、それ自身が半角幅なので0~50%(100パーセントにすると前または後に全角スペースができます)で指定しますが、中黒「・」の場合は同じように半角幅を持っていますが、アキは前と後に付きます。
ですから、全角幅で固定するつもりで50パーセントとすると、アキ量を含め1.5ワード分の幅をもつことになってしまうのです。0~25パーセントで指定するといいでしょう。
これで、中黒は解決と思っていたら、1つ落とし穴があります。
前後の組合せで「大・小」と「五・四」は違う設定でしょうか?
いいえ、[大、小、五、四]はいずれも同じ[和字]との組合せです。そのため、中黒を全角固定したい場合はアキ量は25パーセントです。
ところが、横組みだとどちらも全角幅になるのですが、縦組みにすると、「五・四」の中黒だけ半角幅になってしまいます。仮に最大の150パーセントにしても結果は同じです。縦組みにした時に「五・四」の中黒を小数点と見なしている為だと思われますが、これを全角固定にするには[文字パレット]の文字前と文字後のアキ量を四分にします。一括置換でできますが、追加の文字が入ったときに忘れないようにすることが必要です。
もう一つの対策として[段落パレット]の[連数字処理]のチェックを外すことで、25パーセントのアキ量が復活します(ただし、数字が行で分割されてもいい場合のみです)。
(小野 2005.3.7初出)